2020 06.03

#11

KA&Aコロナとこれまでとこれから

5月の最終金曜日。夏に近づく日差しの中、東京に少しずつ活気が戻ってきました。
久しぶりに見た車の流れ、飲食店を訪れる人。夏の始まりの空には、ブルーインパルスが美しく白いラインを浮かび上がらせました。

医療従者への感謝を込めて。

SNS上でもまた、この映像をおさめた人たちが次々とアップ。「ありがとう」という言葉とともに、たくさんの人たちがブルーインパルスの機体を画面上に飛ばしました。

  • 道ゆく人が皆、同じ空を見上げた。離れていても繋がっている空の景色。

私たちの環境、変わった事

コロナウィルスの影響で働く環境が全く変わった頃、まさにKA&Aでは「働き方改革」の取り組みが昨年から整えられ、まさに今から施行する!という時でした。

設計事務所での業務は、昔から「徹夜が当たり前」の世界。「おしり」がないと、つい時間を気にせず自分の気の向くままに仕事をしてしまう。働き方改革をすることの一番の目的は、仕事の効率化であり、各自が有限となった時間の中でいかに自分の能力を高めて、質の高い仕事をするか、時間という制限で、質の向上をはかるというものです。
という矢先に突然、世の中に出現したのがこの新型コロナウィルス。
突然現れたこの招かれざる客によって、強制ボタンを押されたように、私たちの働く環境、時間を過ごす環境、つまり生き方が一度に大きな舵を切って変わらなければならない状況となりました。

社内で罹患者が出る

3月の後半から、感染が徐々に広がっていく中、KA&Aでも社内mtgの際に、どう仕事をしていきたいかと話し合いをするようになりました。通勤時間の長い者、満員電車に乗る必要のある人から順次リモートワークを開始して行こうと決定されました。今後、徐々に社内から人が少なくなって行くというとき、必要だと感じたことは「みんなが繋がっている意識を持つこと」

当たり前に「おはよう」と挨拶できていた環境から、それぞれがバラバラの場所でチームとして動かなければいけない。そういう時に大切だと思ったのは、全員が一堂に会する時間を共有することでした。

  • 毎朝、「ZOOM おはようch」という名前で朝のmtgを行う。隣の人と繋がってみようと挑戦。

  • 上下の人とも繋がってみることに挑戦

そして、少しずつリーモートワークを開始した矢先、スタッフの一人が新型コロナウィルスに感染したということが発覚しました。
このジャーナルでも代表の窪田から皆様に御報告を致しましたが、今まで経験をしたことのない事態に、窪田始め私たちも大きな不安と直面することになりました。
ただ、その時、心掛けたことは、「隠さないこと」

企業として、たくさんの取引先の皆様がいらっしゃる中で、真摯に対応するにはどうしたら良いか、ということを一番に考える。その結果、私たちは事態を広く皆様にお知らせすることにしました。人ごとのように思えて、実は身近に感染の危険があること。
私たちの経験が、少しでも世の中のためになれば良いと、FACEBOOKやWEB サイト、現在取引のある方にはメールにて一斉にお伝えすることにしました。

プライバシーを守ること

ありがたいことに、取引先の皆様からは非難をするどころか温かい励ましの言葉を沢山頂きました。
「みんなで戦いましょう」という言葉には、大変勇気づけられ、仕事に対して、より一層の気持ちを引き締めていこうと、誰もがそのように感じました。
また、それと同時に社内で一つのことに立ち向かっているという連帯感。
感染者が出たとわかったその日からは、強制的に全員が翌日から2週間自宅待機とすることにしました。
社内ではマスクの着用を義務付けていたため、保健所の指導によれば、マスクをしていれば「濃厚接触には当たらない」ということ。それでも、一緒に仕事をしている皆様に安心して頂くためにも、自宅待機の期間を設けることにしました。

ありがたいことに、その後、症状が出るものはありませんでしたが、次に私たちが感じたことは、感染者に対する、誹謗・中傷が世の中にで始めたということです。
「症状が出ていないだけで誰が先に感染したか分からない」
こういう状況の中、個人のプライバシーを守るためにも、一人一人が気をつけて、仲間を守ること、そう言った意識が必要だということを改めて感じました。

デザイナーは人恋しい

先日、JCD交流委員会による初のオンラインイベントが行われ、第6回JCD女子部オンラインおしゃべり会に、JCD理事の飯島直樹さん、小坂竜さんとご一緒に窪田も参加を致しました。
そこで出た言葉は、

「なんか、人恋しいよね」

という本音。デザイナーは、いわば「三密」を生む場所を作るのが仕事。そう、皆さんは人が大好きな人たち。
きっとコロナが収束した後も、前と同じ社会には決して戻らない。それは誰もが薄々感じていることで、では、この新しい価値観の中で、いかにワクワクするものを作るか、人に幸せを与えられるものを作るか。原点に立ち返り、今は時間を与えられて準備をする時が来たんじゃないか、とA.N.Dの小坂さん。空間は人を幸せにできるものだ、いつかまたそう言う時間は必ず戻ってくる。

  • 当日の参加者、グラフィックデザイナーの倉員香織さんによるグラフィックレコーディング。

平等という価値観

今、すべての国で、外国との行き来がなくなり、全世界が同じ状況におかれることになりました。
「ある意味、世界が平等になった、それはそんなに悪いことではない」と、飯島さん。

海外旅行に出かけられなくなった今、地元の旅がはやるのではないか。地域との連携、「自分がどこで何を買うか」そういうことを考えて行動することで、地域の力が上がって行く。資本主義の中で、今までちょっと横におかれてしまっていたことが、実は大切なことで考えるべき時に来たのではないか、と吉田愛さん。

Zoomというツールがあっという間に人々に普及され、遠くにいる人とも繋がりやすくなったこと。有事にあっては、人は色々なことを考え、それをシェアして互いに進む方向性を探って行くこと、きっと未来はこのように全ての人が考え、行動してつくられて行くのだと思います。

  • KA&A式「ZOOMで繋がる」を参加者の皆さんと

コーヒーカップの世界で幸せを感じる

これからの仕事について、窪田は「ソーシャルディスタンスを保って、それぞれが距離感の中で幸せな空間をつくること。それは、まるで遊園地のコーヒーカップに似ている。」と言います。
決して縮められない距離の中、それぞれの場所の中で笑顔溢れる場所にすること。
(時々、乗り物酔いの人が紛れて死にそうになっている場面も見かけますが)

新しく私たちのつくる世界に、何が求められるのか、その未来は、これから先も100年続く幸せを生み出せる場所でなくてはいけない。

 

KA&A緊急事態宣言明けて

緊急事態宣言が解除となりましたが、KA&Aでは引き続き、リモートワークと出社の両方を続けながら業務に当たっていきます。
スタッフのデスクにはアクリルパネルを設置することにしました。半年後、どのような状況になっているか誰にも分からない現在ですが、刻々と変わる社会にどう対応していけるのか、私たちのデザインの力で「幸せにする」力をつけていきたいと思っています。