AMANDAN BLUE AOSHIMA

宮崎県宮崎市の青島海岸に位置する結婚式場の計画である。敷地は太平洋を目の前に、斜め方向には青島を臨むことができる特別なロケーションであり、この土地の魅力を最大限に活かすことを考えた。建物は、青島の方角へと斜めに振るように配置し、どの地点からも海と島の両方を見晴らせる視界を確保している。また、構造は一体型ではなく、機能ごとに分かれた4つのボリュームを前後にずらして配置することで、奥行きとリズムが生まれ、見る角度によって多様な表情を見せる構成とした。
このずらし方は、見た目の変化をもたらすだけではなく、周囲の建物との視線の関係にも配慮しつつ、建物をつなぐ中庭や通路といった外部空間を生み出す工夫でもある。
デザインにおいては、青島海岸の持つリゾートらしい開放感と、地域の象徴である「鬼の洗濯岩」と呼ばれる隆起海床（地殻変動で海底が陸地となったもの）や波蝕痕（波によって岩が削られた痕跡）、目の前に広がる雄大な海の風景を空間のモチーフとした。青空や海の青を基調にした色彩を採用し、外の自然を室内にも取り入れるように構成している。さらに、「鬼の洗濯岩」に着想を得た斜めのラインを空間に差し込み、アクセントと動きを加えている。
宮崎の自然が持つ力強さと、時間の積み重ねが生んだ風景を空間に映し出すことで、訪れる人にその土地の物語を感じさせる、ここにしかない祝祭の場を目指した。