SINSO
Year: 2022
布団をはじめとした寝装具の販売・リース及び、クリーニング・メンテナンスサービスを提供するブランド『SINSO』のクリーニング工場兼オフィスの計画。田園地域に建つ、築40年の工場をリノベーションした。
かつて寝具は100年もつもので、「打ち直し」をしながら代々受け継がれるものだった。しかし現在、粗大ゴミで一番多いのは布団という調査結果もあり、東京都だけでも年間東京ドーム290個に敷き詰めることのできる布団が廃棄されている。
SINSOはメンテナンスも行うことで、長く使える寝装具を扱うサスティナブルブランドである。設備的にも、オゾンの生成装置を導入しオゾン水で洗浄することで、使用する洗剤の量を最小限にし、環境への負担を軽減させている。
さらに、SINSOの製品は洗いざらしが特徴である。環境に悪影響を及ぼさないよう糊を使用せず、 肌馴染みの良い綿本来の素材感を大切にしている。
製品の特徴である「洗いざらし」とブランドの環境負荷低減の取り組みに応えるべく、空間のコンセプトは「素」とし、最小限のデザインを心掛けた。既存の躯体や仕上げを極力使いつつ、新たに加える素材はリサイクルのし易さを考慮し、ありふれた素材とした。それらに対し塗装やクロス張りなどを施さず、留め方はビスや隠し釘を基本とした。素材そのものの質感を活かしつつ、簡単に取り外せ、かつ元の状態に戻せることで、リサイクルの容易さを向上させた。
オフィスエリアは劣化していた断熱材を吹き直し、飛散防止のためポリカーボネートで塞いだ。昼はポリカーボネートが外光を室内に拡散させ、夜は断熱材の質感が浮かび上がる。
また、一般的に工場は中が見えず、近隣住民にとってネガティブな物になってしまう事が多い。そこで、奥まで見通すことできるレイアウトとした。手前から、ラウンジ、オフィス、作業場、保管場所と異なる機能をシースルーに並べ、それを貫通するように電設資材を組み合わせたライン照明を吊る事で、視線を奥まで引き込んだ。
- Program
- クリーニング工場
- Structure
- 鉄骨造
- Scale
- 459.50㎡
- Contents
- 設計、工事監理
- Location
- 山梨県南都留郡
- Project Team
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- 撮影:
- 中山保寛写真事務所